130 言葉の定義を考えることの大切さについて

【言葉の定義を考えることの大切さについて】

まず>>114の質疑応答を見てください
ここでは質問のみ載せます

【質問】
1さん聞きたい
よく引き寄せは魔法じゃないと言う人がいるけど、脳の認知機能の改善によって感度が高くなって
行動や考え方が変わって現実的なルートで願望が達成されると言うこと?
魔法のようなことでも起こらないといかんともし難いという場合がありますよね
例えば無職だけど三ヶ月以内にどうしても1000万欲しいとか治療法のない難病を直したい、とか
そういう場合、魔法というか奇跡を期待すると思うのですが、そういうのも1さんは魔法じゃないという見解なんですか?
それともそういう願望は抱かなくなる?魔法だと認知しなくなる?魔法はないけど奇跡は起こる?
1さんのぴったりのお金が入ってきたお話も読む人によっては魔法のように思えるんじゃないかと思って聞いてみました。

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ここでは、

・魔法
・魔法のような
・奇跡

という一見よく似た言葉が入り混じっています
最終的にこれらは次のように定義され、一見よく似ていてもそれぞれ違うことを指している言葉であることが整理されました

・魔法
→物理的にありえない

・魔法のような
→なぜそうなるかわからない

・奇跡
→起こる確率が低い

はっきりいって質問された時点(>>105)では、私はこれらの言葉の違いにここまで明確に気付いていませんでした
ただ直観的に「~ですか?→違います」とだけ感じたくらいです
だから最初は【「魔法」と「魔法のように感じられること」は違います】とだけ答えました
これがこのときの私の認識の限界でした
違うことはわかってもそれを言語化できなかったのです

しかし、しばらくしてから、これらの言葉が巧妙に使い分けられていることに気づきました
つまりこれら三つの言葉は明確に意味が違うのです
これに気付いたことが突破口になりました

そもそも私も無意識に「魔法」と「奇跡」を使い分けていました
引き寄せは魔法ではないが、奇跡が起きたと>>1で言っています
明らかにこの二つを違うものを指す言葉として使い分けています
しかしそれらが具体的に何を指すのかを深く考えることなく無意識に使い分けていました

一方、質問者は意識上ではこれらの言葉の違いに気付いていなかったはずです
なぜなら、本来であれば
「Aではないと言いますが、Aですよね」
という質問だけで済むところを、
「Aではないと言いますが、Bですよね」
「AというかCですよね」
「CはAではないんですか」
という質問もしているからです

もちろん、

A→魔法
B→魔法のように感じられること
C→奇跡

です

後者の聞き方は不自然です
Aの話のはずなのに、BやCが出てきて、途中ですり替わっています

A→宇宙人
B→宇宙人ぽい
C→頭が大きくて手足の細い人

これらを当てはめてみると、より不自然さがわかると思います

「宇宙人ではないと言いますが、宇宙人ですよね」
→これは宇宙人かどうか議論の余地があるでしょう
自然な質問です

「宇宙人ではないと言いますが、宇宙人ぽいですよね」
「宇宙人というか頭が大きくて手足の細い人ですよね」
「頭が大きくて手足の細い人は宇宙人ではないんですか」
→はい、そうですねという感じで議論の余地はありません
質問しなくても質問者がすでに分かっているからですね
質問としては不自然です

でも基本的にはどの質問も「Aではないと言いますが、Aですよね」という意味で質問されているはずです
ですから質問した時点では、意識上でA,B,Cは同じもの、交換が成り立つものとして認識されていたのでしょう
もし定義が元からはっきり認識されていれば、次のような質問になるはずです
「Aではないけど、Bで、Cということですか」
だから私の回答は「Aではないけど、Bで、Cです」となりました

そしてこの「Aではないけど、Bで、Cです」が成り立つのは、A,B,Cが無意識のうちに使い分けられていたからです
だから私はそこに注目することで、三つの言葉の違いを明確にすることができました
(言葉は文脈によって色々な定義を持つことがありますが、今回は上記の定義のみで違いが明確になり、質問の回答に足りますので、それ以上は踏み込みません)

質問者自身も、自分の疑問を振り返って、Aの話にBとCも登場しているということに気付き、それらがどのように使われているかを見てみれば、A,B,Cが何を意味しているか、そして自分が無意識のうちにそれらの違いを知っていたことに気付いたはずです

今回のケースから、

・意識上では認識できていないことも無意識では認識されていることがある
 (言葉を精査することでそれに気づくことができる)
・言葉は思考を楽にするツールだが、逆に思考を縛ることもある

ということがわかります

言葉は非常に強力です
正しく使うだけで上記のような気づきを得ることができます(今回私は言葉の使われ方に注目しただけです)
しかし同時に思考を縛ることがあります

言葉は概念を入れる箱のようなものです
砂のように細かいものが散らばっていたら、扱いにくいですよね
「物理的にありえないこと」は「魔法」という箱に入れておきましょう
よく似た「魔法のように感じられるもの」「奇跡」もそれぞれの箱に入れておきましょう
今回はそれらの箱が近くにあって、箱のラベルも似た印象の名前だから、なんだかややこしいことになってしまいました
でも箱の中身を確認したら、それぞれはやっぱり違うものだった、ということです

箱に入れて名前をつける(概念にそれを表す言葉を与える)ことは抽象化の手段です
いちいち細かいことを気にしなくても、思考することができる強力なツールです
しかし抽象化の代償として具体性を失わせます

「魔法」と一言言えば、魔法とは何かについてすべてわかっているように感じてしまいます
「魔法とは何か」についていちいち考えない、ある意味思考停止状態になります
でも「魔法」を別の言葉で説明すれば、「魔法」の箱に入っているものを直接見返してみれば、それが「物理的にありえないこと」を指しているということがわかります
このように言葉の棚卸をするだけで、思考を整理することができます

特に引き寄せに関して思考するとき、言葉の定義を気にしてみてください

なぜかわからないのですが、引き寄せの説明を見ていると、言葉の定義をせずにいきなり使い始めているケースばかりです
これでは混乱が混乱を呼ぶだけです
もっと言葉に敏感になるだけで、認識の感度は上がります
引き寄せをしたいなら、言葉にもっと興味を持ち、使いこなせるようになるといいと思います

だから私は願望の棚卸を勧めます(後ほど説明しますが、願望のシンプル化)
願望は言葉を使って設定されているはずです
その言葉が何を意味しているのか、よく見てください
別の言葉で説明できないか試して、自分が何を言いたくてその言葉を選んだのか、考えてみてください

質問者さん、もう一度ありがとう
敬称略で失礼しました