747 「エンコードが合わない」をもう少し詳しく踏み込んで説明

前回、通信モデルを使って、コミュニケーション不全のよくある原因として「エンコードが合わない」を紹介しました
今回は、この「エンコードが合わない」をもう少し詳しく踏み込んで説明します

通信モデル
[Aさん]→[符号化]→[送信機]→(通信経路)→[受信機]→[復号化]→[Bさん]

前回、Aさんの符号化とBさんの復号化において使われているエンコードが異なる場合を「エンコードが合わない」と言いました

そもそも「エンコード」とは何か?
コードって言葉がありますね
暗号、符号、記号とかそう言う意味です
この暗号、符号、記号などから元の意味を復元するとき、および記号化するときの「記号と意味の対応付け」がエンコードです
ここでは符号化・復号化のルールをエンコードと言っています
インターネットブラウザでも文字コードを選んだりしますよね
これもエンコードの一種です
間違った文字コードを設定していると文字化けして読めなくなったりします

狭義の「エンコード」は上記の意味ですが、ここでは情報理論ではなく引き寄せの話がしたいので、人のコミュニケーションに話を戻すと、エンコードとは、
Aさん:自分の言いたいことを記号(言葉、声、身振りなど)に置き換える方法←符号化ルール
Bさん:Aさんから受け取った記号から、Aさんが言おうとしたことを復元する方法←復号化ルール
この符号化ルール・復号化ルールのことです
当たり前ですが、これらが異なっていると、記号は正しく伝わっても意味するところが異なる解釈になるので、Aさんの言いたいこととBさんが思う「Aさんが言いたいこと」が異なり、コミュニケーションは成り立ちません

前回、エンコードが合わない例として以下の二つを挙げました
1-1.Aさん、Bさんで言葉の解釈が異なる
1-2.Bさんが適当に拾い読みして読解間違いをしている
これらは広義で上記の符号化ルール・復号化ルールが異なるケースに含まれます

さらにエンコードの概念を広げると、その人が世界をどう解釈しているかの話につながります
よく「周りの人は自分の鏡である」など言われます
これはどういうことかというと、自分は感覚器を通して得た信号から自分のエンコードを使って世界を復元して解釈するしかないので、その解釈は自分のエンコードの反映であるということです

たとえば「笑顔」も「記号」です
だから使うエンコードによって笑顔の解釈も異なります

・普通の状態
 笑顔を向けられたら、好意と解釈する

・うまくいかずイライラしている状態
 笑顔を向けられたら、嘲笑と解釈する

このように受取手が異なるエンコードを使えば、同じ記号を受け取っても受取手の解釈が異なります
また、その解釈は、受取手エンコード(世界観、価値観、観念)を反映したものとなっています
そして、同じ人でも状況によって使うエンコードが異なるということもわかります
(波動を上げるとか波長をいいものに合わせるとかいう話は、ここでいうエンコードをポジティブなものに差し替えましょうと言っているのだと思います)

前回、エンコードが異なる人とは無理にコミュニケーションをしなくてよいと書きました
しかし上記の例でわかるように、同じ人であっても複数のエンコードを状況によって使い分けていることがあります
つまり、ある話題についてはエンコードが異なってコミュニケーションが成り立たないとしても、すべてにおいてその人とコミュニケーションが成り立たないわけではないということです
少し話が合わないからといって、その人のすべてを拒絶する必要はありません
もしかしたら分かり合える部分があるかもしれないし、もしあったらそれは受け入れれば自分の知見にもなります
この考え方は自愛につながります(他人を攻撃しすぎない=自分を攻撃モードにしすぎない、という意味で)

また、現時点ではコミュニケーションが成り立たない同士であっても、お互いがそれぞれの道を歩む中で、お互いのエンコードが少しずつ書き換えられていき、いつかコミュニケーションが成り立つ日がくるかもしれません

前々回>>741書いた「わかりにくい引き寄せの話があったら、理解しようと努力をしすぎなくて大丈夫」というのも、いずれそれを理解するためのエンコードが完成すれば、理解できるようになるので、焦って今すぐ「今まで使ってきたエンコードを捨てて真っ白になって、すべてを受け入れる」という道を選択しなくてもいいよということです
自分の判断基準を捨てて差し代えたエンコードは、また何かあればすぐに他のものに差し代わりやすいものです
そのようなスタイルでは、常に他の人に依存し、外部からエンコードをもらわないとやっていけなくなりますので、注意してください

次回に続きます