743 コミュニケーションの問題について情報理論の通信モデルを使って説明/「波長が合う、合わない」ではなく「エンコードが合う、合わない」

前回、「わかりにくい話をわかろうとすることのデメリット」について書きました
これはコミュニケーションの問題でもあります
Aさんが発信した「話」がBさんには「わかりにくい話」として受け取られてしまい、理解してもらえていない、つまり伝わっていないからです

今日はコミュニケーションの問題について情報理論の通信モデルを使って説明します
これは色々なシーンに応用できる考え方です

通信モデルとは以下のような枠組みです

[Aさん]→[符号化]→[送信機]→(通信経路)→[受信機]→[復号化]→[Bさん]

通信モデル自体は、インターネット、電話などをイメージするとわかりやすいと思います

Aさんが伝えたい情報は電子信号に置き換えられて←符号化
Aさんのパソコンや電話から発信され←送信機
インターネット回線や電話回線を通って←通信経路
Bさんのパソコンや電話が受信し←受信機
受け取った電子信号から情報が復元され←復号化(失敗すると文字化けしますね)
Bさんに届きます

これを普通の対面でのコミュニケーションに当てはめてみます

(1)Aさんが伝えたい情報を言葉に置き換えて←符号化
(2)Aさんの口から発信され←口が送信機
(3)声の振動が空気を伝わって←空気が通信経路
(4)Bさんの耳が受信し←耳が受信機
(5)受け取った言葉から情報が復元され←復号化
Bさんが理解します

こうやって考えると、どこでコミュニケーション不全が起こるのかの切り分けが容易になります

1.Aさんの符号化とBさんの復号化において使われているエンコードが異なる(1)(5)
2.Aさんの言い間違い、Bさんの聞き違い(2)(3)(4)
3.Aさんの伝えたい情報、Bさんの理解した内容の相違

1はよくあるケースです 後述します
2もたびたびあるケースで、何かのエラー(うるさくて聞こえなかったとか見落としたとか)でAさんは伝えたつもり、Bさんは聞いていない、これですれ違う場合です
3は1,2の問題を乗り越えて、本来のコミュニケーションの目的を達成できる段階にたどり着いています
3まで来れば、コミュニケーションを通して、お互い意見交換して議論をしていくことができます
逆に言うと、1,2でつまづいている限り、真のコミュニケーションが行えません

3については、実は[Aさん][Bさん]とくくった中身も、もっと細かくブレイクダウンしていくことができます
[Aさん]の中には、自意識、無意識など構造的になっている意識があるし、伝えたいことというのは本来はすべてを言語化はできません
自分の考えのうち、どこをどう切り取るか、これもAさんの判断のうちです
また、思考体系自体もAさんのものです
ここらへんの話が3に該当します
ややこしくなるので、今回はここまでは踏み込みません

さて、1のケースに戻ります
コミュニケーションの一番手前であり、よくつまづくのが1のケースです
これはどういうことかというと、
1-1.Aさん、Bさんで言葉の解釈が異なる
1-2.Bさんが適当に拾い読みして読解間違いをしている
など

1-1のケースだと、引き寄せでよく見かける「エゴ」という言葉、これ私はよくわからないのでスルーしています
でも「エゴ」という言葉を見て、意味がわかると思っている人同士では会話が成立します
Aさん「エゴが〜」→私「わかりません。スルーします」
Aさん「エゴが〜」→Bさん「はいはい、エゴね」
こういうのが「波長が合う」「波長が合わない」と表現されているところの実際でしょう
通信モデルで言うと「エンコードが合わない」ということです
私のエンコードでは「エゴ」から復号されるものがないということです
私の辞書に「エゴ」と言う言葉が載っていないということです

~~~ 波長について余談 ~~~
「波長が合う、合わない」を通信モデル風に言うと「エンコードが合う、合わない」になります
「波長が合わない」の文字通りを解釈すると、Bさんの受信機がAさんの送信機からの信号をキャッチできないということになります
ラジオで周波数の設定が異なっていて聞こえないのと同じです
これはコミュニケーション不全の2のケースに該当し、Aさんの発した声がBさんに聞こえないということです
声が聞こえなければコミュニケーションは成り立たないので、「やり取りが成立しない」という意味においては「波長が合わない」という表現でも意味が通りますが、上記の例の私はAさんの声や言葉を受け取っても尚「意味がわからん」と思っているわけなので、「エンコードが違う」と表現するほうが的確だと思います
波長とかパラレルワールドとか、物理学の言葉を使って引き寄せを説明したものをよく見かけますが、やはり無理がありますね
それに比べて人工知能は人の知能を模しているので、人の認知能力に大きく依存する引き寄せとの親和性は高いです
というか、私はそれで理解が助けられたので、逆に考えて引き寄せは認知能力に大きく依存しているということがわかったわけです
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1-2のケースは、私がこれまでに「読解力がない>>305」と指摘してきたケースです
ぱぱっと見て、引っかかったキーワードだけを拾って、それらの関連性を自分で補完してしまうケースなどです
これが起こると、Aさんは「自分が言ってもいないことについてBさんが返答してきているぞ」と感じます
これはBさんが頑なだった場合、平行線になりがちなパターンですね
Aさんにはどうしようもないです
同じ言い方で伝わる人(エンコードが同じ人)が別にいる場合は、そちらと会話しましょう
どうしてもBさんと会話しないとならない場合(職場の同僚など)、Bさんのエンコードを推測して、それに合うようにAさんが発信すると効果があります
ただ、私の考えでは、自分の感覚に素直に生きたほうが引き寄せもうまくいくので、そのようなからめ手のようなことをするのはオススメではなく、「早くそのような人から離れてください」または「できるだけBさんとのやり取りを減らしてください」ということをオススメします

以上、通信モデルを使って、ざっくりとコミュニケーション不全について説明しました
これがわかると、コミュニケーション不全があった場合に、自分のできること・できないことが明確になり、必要以上に悩んだり苦労することが減ります
つまり自愛にもつながります

前回で取り上げた「わかりにくい引き寄せの話」の問題は、
・説明があいまい
・達成基準があいまい
・やっても手応えを感じない
このうち「説明があいまい」に、1-1の問題があったように感じています
こういうものについては、提唱者が目の前にいたら、自分のエンコードとのすり合わせをお願いするといいかもしれません
まとめサイトはとてもよいですが(私はまとめサイト掲示板と進んで理解を深めました)、質問できないのが玉に瑕ですね